●今年の前半終了。そして世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
風三部作を読み終え、次に「世界の終わりとハードボイルドワンダーランドを手に取った。もう、私の手元にある表紙の本は売ってないらしい。
ワールドカップの試合が始まるので、極めて完結に記すが、ようするに、私が村上春樹作品にどうしようもなく惹かれてしまうのは、こういう所だ。
上巻で、図書館で夢読みの手伝いをする女性との会話で、
「あなたが私の髪をほめたというのはわかるわ。でもほんとうはそれだけではないのね。私の髪があなたの中に何かべつのものを作り出して、あなたはそのことについて何かを言っているのね?」 「違うよ。僕は君の髪の話をしているんだ。」
やはり上巻で、
「いや違うね。親切さと心とはまたべつのものだ。親切さというのは独立した機能だ。。もっと正確に言えば表層的な機能だ。それはただの習慣であって、心とは違う。心というのはもっと深く、もっと強いものだ。そしてもっと矛盾したものだ」
という老人のセリフ。このあたりが、本当によくわかるし、切なさ、もどかしさがヒシヒシと伝わって来る。そして、下巻の最後の最後に、博士の孫娘が
「怖がらないでね。あなたがもし永久に失われてしまったとしても、私は死ぬまでずっとあなたのことを覚えているから。私の心の中からはあなたは失われないのよ。」
という、これ以上ないであろう救いのセリフ。本当に、ごくごく限られた一部分ですが、この作品の柱を見事に表す名文だと、私は思っています。まるで、悲しみをわざわざ自分の中に入れるために、この本を読んでいるのではないかと、一瞬考えることもありますが、実は、大いなる救いを求めて、繰り返しページをめくっているのでした。
ということで、今年も半分終わりました。後半は、少しは自分で何かを作り出せる毎日にしたいです。